禁煙1週目を乗り切るためのガイド:毎日の変化と対処法
かんたんな答え: 禁煙の1週目は、ニコチンの離脱症状が中心です。3日目ごろにピークを迎え、その後は和らいでいきますが、主な症状はふつう2〜4週間続きます。おもな課題は、吸いたい気持ちへの対処、気分の乱れ、眠りにくさ、食欲の変化です。このガイドでは、1日ごとに体の中で何が起きているか、何が役立つかを説明します。
禁煙の挑戦の多くは1週目で決まります。自力で禁煙する人を調べた研究では、再喫煙の多くは最初の8日間に起こることがわかっています。離脱症状は本当につらいものです。それでも終わりがあります。3日目ごろにピークを迎え、その後の数週間で和らいでいきます。吸いたい気持ちに行動で応えずに耐える習慣を身につけられれば、その先の禁煙は少しずつ楽になっていきます。
1週目の全体の流れ
| 日 | 離脱症状の強さ | おもな課題 |
|---|---|---|
| 1日目 | 高まり始める | 心理面:決めたことが現実味を帯びる |
| 2日目 | さらに強まる | 体の症状が強まる |
| 3日目 | ピーク | 多くの人にとっていちばんつらい日 |
| 4日目 | 向きが変わり始める | 楽になり始めるが、まだかなりつらい |
| 5日目 | 弱まっていく | 症状は和らぐが、まだある |
| 6〜7日目 | 和らぐ | 吸いたい気持ちがきっかけと結びつくようになる |
1日目:別の記事で解説しています
詳しくは1日目のガイドをご覧ください。要点だけ言うと、1日目は心理的に大きな意味をもち、離脱症状が始まる日ですが、神経化学的なピークはまだ先です。とにかく眠りましょう。
2日目:強まっていく
2日目は、多くの人にとって離脱症状がはっきり感じられる日です。CDCによると、血中のニコチンは24時間までにゼロになり、離脱症状は3日目ごろのピークに向かって高まっていきます。
感じやすいこと:
- 1日目より強く、頻繁な吸いたい気持ち
- かなりのイライラ。ちょっとしたことが大ごとに感じられる
- 頭痛(血管の変化によることが多い)
- 集中しにくい。集中が必要な仕事がつらくなる
- 空腹感と食欲の増加
- めまい、吐き気、便秘が起こることもある(腸のnAChRが調整中)
- 眠りの乱れ。寝つきにくく、鮮明な夢を見ることもある
体の中で起きていること: 報酬系のドーパミンの出方が、ニコチンに慣れた脳が期待する量に比べてもっとも少なくなっています。ノルアドレナリンの乱れは最大です。
対処法: 今日は、仕事の成果や人づきあいへの期待を下げておきましょう。できれば、大事な場面は避けてください。わかっている吸いたい気持ちのきっかけには、それぞれ対処の計画を用意しておきましょう。水を飲み、散歩をし、吸いたい気持ちはたいてい数分で過ぎることを思い出してください。NHSによると、長くても15分程度です。
3日目:ピーク、そして折り返し
多くの人にとって3日目がいちばんつらい日です。あるレビューは、離脱症状のピークをおよそ3日目としています。そして、だいたいこのあたりから状況は良くなり始めます。
3日目がつらい理由:
- 離脱症状に関わるすべてのしくみが同時にもっとも乱れている
- 2日間、吸いたい気持ちに対処してきた疲れがたまっている
- 感情の乱れが最悪になる。涙、怒り、絶望感はよくあることで、正常な反応
3日目に意味がある理由:
- 今日を過ぎると、症状は良くなり始める
- いちばんつらい時期を乗り越えられることを、自分で示したことになる
- ピークを過ぎた1時間ごとに、曲線は下を向いていく
今日ピークを迎える体の症状:
- 咳がひどくなることがある。NHSによると、喫煙でたまった痰を肺が外に出しているためです(気道がきれいになるしくみ)。NHSは、咳が3週間以上続く場合はかかりつけ医を受診し、血を吐いたり呼吸が苦しかったりする場合はすぐに助けを求めるよう勧めています。
- 便秘がよく起こる(ニコチンは腸の動きを速めていたので、それがなくなると腸がゆっくりになる)
- 集中しにくさが最悪になる
- 空腹感がもっとも強くなる
ニコチン置換療法(NRT)をきちんと使っている場合: 離脱症状がなくなるわけではありませんが、助けになります。禁煙した1,122人を対象にした研究では、NRTが離脱症状の初期の、平板で喜びのない感じを減らしました。また、コクランレビューではNRTによって禁煙率が約50〜60%上がりました。
4日目:折り返しが始まる
4日目は、多くの人が離脱症状が良くなってきたと初めて気づく日です。なくなったわけではありませんが、はっきりと良い方向に向かっています。
よくある感じ方:
- 吸いたい気持ちの回数が少し減り始める
- ひとつひとつの吸いたい気持ちはまだ強いが、少し短くなることもある
- 気分が落ち着き始める。最悪の落ち込みが晴れ始める
- 体の症状(頭痛、めまい)はほぼおさまる
- 食欲はまだ高いが、それほど困らなくなる
大切なこと:楽になっても油断しないでください。 4日目に気分が良くなって気がゆるみ、5日目や6日目に不意をつかれる人がいます。離脱症状は良くなっていますが、終わってはいません。
5〜7日目:体の離脱症状がおおむね落ち着いていく
1週目の後半には多くの人がピークを過ぎていますが、主な症状はふつう2〜4週間続くので、次のような症状はしばらく残ると考えておきましょう。
- 頭痛、めまい:和らいでいることが多い
- 集中力:良くなっているが、まだ元どおりではない
- 気分:まだ揺れるが、たいてい最悪の時期は過ぎている
- 睡眠:多くの人でまだ落ち着かない。不眠も同じ2〜4週間の範囲に入る
体の中で起きていること:
- 脳画像の研究では、ニコチン受容体が1週間ほどで最も過剰になり、6〜12週間で非喫煙者の範囲に戻る
- 吐く息の一酸化炭素が7日目から測ってわかるほど低くなる
- 気道がきれいになっていく。咳や痰がしばらく増えることがある(NHS)。NHSは、咳が3週間以上続く場合はかかりつけ医を受診し、血を吐いたり呼吸が苦しかったりする場合はすぐに助けを求めるよう勧めています。
残るもの:
- 食欲の増加。空腹感は最初の1か月を過ぎても続く数少ない症状のひとつ
- きっかけとなる場面での吸いたい気持ち。離脱症状であると同時に、身についた反応でもある
- 気分の揺れが、あと数週間続くことがある
吸いたい気持ちへの対処法
1週目の基本の考え方は、吸いたい気持ちを満たすものではなく、やり過ごす短い出来事として扱うことです。NHSによると、ほとんどは数分で、長くても15分程度です。
役に立つ方法:
先延ばしにする:「5分たってもまだ吸いたかったら考えよう」と自分に言いましょう。ほとんどの場合、そうはなりません。
ほかのことに向ける: すぐに手と注意を使うことをしましょう。歩く、誰かに電話する、水を飲む、腕立て伏せを20回する。体を強く動かしたり人と関わったりしているあいだ、吸いたい気持ちは張り合いきれません。
深呼吸: NHSは鼻から4秒かけて吸い、5秒止め、口から6秒かけて吐く方法を勧めています。その数分に形を与えてくれます。ただ、これで吸いたい気持ちがどれだけ弱まるかを測った研究は、私たちの知るかぎりありません。
吸いたい気持ちのとらえ方を変える:「この感覚は脳が調整し直しているしるし。うまくいっているということだ」。吸いたい気持ちを脅威ではなくサインとして受け止め直すと、感じ方が変わります。
環境を変える: 喫煙と強く結びついた場面にいるなら、移動しましょう。別の部屋に座る、外を歩く、状況を変えてみてください。
1週目の体のケア
水分: 水をこまめに飲みましょう。手と口にすることができ、便秘のときにも役立ちます。
睡眠: 睡眠を優先しましょう。眠っている時間は、吸いたい気持ちのない時間です。離脱症状で眠りが乱れるなら、寝る時刻を一定にし、寝る前の1時間を穏やかに過ごしてください。メラトニンを含め、睡眠を助けるものを使う前には薬剤師か医師に相談してください。規制や用量は国によって違い、禁煙と相互作用する薬もあります。
運動: 1回の運動で、運動中と運動後最大50分間、吸いたい気持ちが弱まります。運動と禁煙をご覧ください。
カフェイン: タバコの煙は、肝臓がカフェインを分解する速さを上げます。禁煙すると、同じコーヒーでも3週間以内に血中のカフェインがおよそ2倍になることがあります。そわそわしたり不安を感じたりするなら、減らすことを考えてみてください。同じ作用はクロザピンやオランザピンなど一部の薬にも影響します。こうした薬を飲んでいる場合は、禁煙することを医師に伝えてください。
食事: たんぱく質をとる規則的な食事は、血糖と気分を安定させるのに役立ちます。砂糖のとりすぎは避けましょう(急な上昇と低下で気分の不安定さが悪化します)。にんじんやりんごなど歯ごたえのある食べ物は、喫煙の「口さみしさ」を満たしてくれることがあります。
サポートを求めるとき
1週目は、薬によるサポートがもっとも役立つ時期です。まだなら、次のことを考えてみてください。
- NRT: ニコチンパッチ、ニコチンガム、ニコチントローチは、コクランレビューで禁煙率を約50〜60%上げています。NHSはパッチと即効性の製品を組み合わせることを勧めています。
- 処方薬: バレニクリン、シチシン、ブプロピオンはふつう禁煙開始日の前から始めますが、使わずに1週目にいる場合も医師に相談してください。今から相談しても遅くはありません。
- 電話相談: 多くの国に無料の電話相談があります(オーストラリアの13 QUITなど)。日本には全国共通の無料禁煙電話相談はありません。一定の基準を満たせば、禁煙外来で健康保険を使った禁煙治療(12週間に5回)を受けられます。
1週目のマイルストーン
7日目にたどり着くことには本当に意味があり、その次の1週間も同じです。ニコチンパッチの2つの臨床試験では、2週目に1本でも吸ったことが6か月後の喫煙を予測し、2週目のあいだ完全に吸わずにいた人は、その後も禁煙を続けている可能性がずっと高くなりました。1日過ぎるごとに、次のことが積み重なっています。
- 体の中で進んでいる本物の変化
- 吸いたい気持ちに行動で応えずにやり過ごす練習
- 乗り越えられるという証拠から生まれる自信
よくある質問
禁煙で何日目がいちばんつらいですか?
いちばんつらい日としてもっとも多く挙げられるのは3日目で、ニコチンの離脱症状に関するあるレビューもピークをおよそ3日目としています。2〜3日目を合わせた期間がふつういちばん強く、その後はほとんどの症状が和らぎ始めます。
ニコチンの離脱症状がある時期、どうすれば眠れますか?
午後からはカフェインをやめましょう。禁煙すると、同じコーヒーでも効き方が強くなることがあります。日中に運動し、温かいお風呂に入り、寝る前の1時間は画面を見ないようにしてください。メラトニンを含め、睡眠を助けるものを使う前には薬剤師か医師に相談してください。用量や規制は国によって違います。24時間型のニコチンパッチで眠りが乱れる場合は、寝るときに外すべきか薬剤師に相談してください。不眠がひどい場合は医師に相談してください。
1日目より2日目のほうがつらいのは普通ですか?
はい、まったく普通で、予想どおりのことです。1日目はニコチンがまだ一部残っているので、乗り切れると感じることが多いのです。CDCによると血中のニコチンは24時間までにゼロになり、離脱症状は3日目ごろのピークに向かって高まります。2日目が1日目よりつらいのは、ふつうの経過です。
ニコチンの離脱症状がある時期、何を食べればよいですか?
規則的に食べましょう。空腹感は離脱症状のひとつで、強い空腹はイライラを悪化させます。吸っていたはずの時間のために、果物や歯ごたえのある野菜を手元に置いておきましょう。水分もとってください。お酒は控えめに。NHSはお酒を、もっともよくある喫煙のきっかけのひとつに挙げています。